top of page

ガラス#3 涙音

 

午前9時に部屋の片付けをしていて ふと思う
いつも最後に残るのはあの人との写真だった

 

実らない恋を叩きつけられてどれくらい経っただろう
突き刺さるような思いはちっとも変わらない

 

本を読んでいた まるで僕を映しだしていた
結末だけは違って彼女と結ばれていた

 

暗い日々を過ごしていた僕に一筋の日差しが
軽い気持ちで描いていた絵が評価された

 

窓を眺めては溜息をして
ギターを手にアルペジオ奏でていた
何を想うだろう…

 

そこら中に散らばる譜面のように
恋なんてたくさんあるはずだけど
どうしてか見つめるのはあなただけ
簡単に割り切れるほど強くはない
代わりに窓ガラスを強く叩いた
割れないように力だけは加減して

 

ポストの中に手紙が一通 もしやと裏を見る
彼女ではなくて肩を落とす 僕って馬鹿だよね

さよなら 幸せよ これから僕は長い旅を
思い残すことは… 屋上から身を投げる

 

最後は涙で顔を飾る
どこか遠い場所から温かい手が
僕を優しく抱きしめる
彼女にこうされてみたかった
気がつけば目の前にその彼女が
涙して 僕のこと抱きしめていた
思わず涙が頬を伝う

© 2023 by Name of Site. Proudly created with Wix.com

  • グレーのYouTubeアイコン
  • Instagramの - 灰色の円
bottom of page