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鴉の破片
淡い紫に咲いた夢幻を見せる花
そっとかすめ取って 幸福の中に身を潜ませていた
見上げれば海 非常識が今では日常
鳥が波掻いて泳ぐ様を見送り歩き出した
例外無く 眼に映るものは全て美しいものばかり
時折淀んでしまうけど 大きく息を吸えば元通り
淡い紫に咲いた夢幻を見せる花
そっとかすめ取って 幸福の中に身を潜ませていた
口笛吹いて ご機嫌に雲の間を散歩
紅茶色の煙 吐き出す数だけ何かが消えていく
退屈しのぎで 鴉みたいな黒い粘土をこねて遊び
飽きたら火をつけ消し炭に そうすれば忽ち桃源郷
淡い紫に焦がれ夢幻に溺れたい
食って寝る間も全部 快楽の代償に捧げましょう
横たわる人の群れ
皆 煙の奴隷
動くのもままならず
売り買いのみ繰り返す
希望も絶望でさえも 中空を漂った
苦痛を紛らわすにはあまりに燻らせ過ぎたかな
淡い紫に咲いて夢幻を見せて
永い微睡みに呑まれ まるで揺れる花
知らぬ間に摘み取って 幸福の中でこの身散れば良い
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