top of page

空想小説 天使

 

いま読んでいる小説の中に

翼をもがれる天使がいた

痛みを堪えて黙座して

ひたすら助けを待っていた


心の叫び 風が運ぶ

願うは勇者に届くこと


今日はここらでやめておこう

気付けば栞を挟んでいた

明日(つづき)はどんな話だろう

翼竜とかが出るのかな?


夜 寝ている頭の中で

天使の話は進んでいた

竜に乗った騎士が来て

必死に腕を伸ばしていた


風が運んだ叫びは届いた

だけど腕は届かない


夢はここらでやめておこう

気付けば瞼は開いていた


本当は何回も読んでいる

天使は翼をもがれ翔べなくなり

助けも来ずに死んでいく

その結末は嫌だから勝手に話を作っていた


耐えぬいたなら救われる

確かに奇麗事だろう

いまの世界じゃ報われない

ならばせめて小説なら...


いま書いている小説の中に

明るい笑顔の天使がいた

痛みを堪えた結末は

平和で楽しい生活が


僕の話 風が運ぶ

願うは読者に出会うこと

素敵な読者に...

© 2023 by Name of Site. Proudly created with Wix.com

  • グレーのYouTubeアイコン
  • Instagramの - 灰色の円
bottom of page