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空想小説 天使
いま読んでいる小説の中に
翼をもがれる天使がいた
痛みを堪えて黙座して
ひたすら助けを待っていた
心の叫び 風が運ぶ
願うは勇者に届くこと
今日はここらでやめておこう
気付けば栞を挟んでいた
明日(つづき)はどんな話だろう
翼竜とかが出るのかな?
夜 寝ている頭の中で
天使の話は進んでいた
竜に乗った騎士が来て
必死に腕を伸ばしていた
風が運んだ叫びは届いた
だけど腕は届かない
夢はここらでやめておこう
気付けば瞼は開いていた
本当は何回も読んでいる
天使は翼をもがれ翔べなくなり
助けも来ずに死んでいく
その結末は嫌だから勝手に話を作っていた
耐えぬいたなら救われる
確かに奇麗事だろう
いまの世界じゃ報われない
ならばせめて小説なら...
いま書いている小説の中に
明るい笑顔の天使がいた
痛みを堪えた結末は
平和で楽しい生活が
僕の話 風が運ぶ
願うは読者に出会うこと
素敵な読者に...
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